早寝早起きし、ワールドカップ決勝トーナメント準決勝ポルトガル-フランス戦を観戦する。

私はここ数年のポルトガル代表を海外代表チームとしては、最も注目していた。90年代以降のポルトガル代表は、89年、91年とワールドユースで世界制覇したメンバーが中心選手となり、世界中のピッチで躍動していた。現にユベントス、ボルシア・ドルトムントで欧州制覇に貢献したパウロ・ソーザや世界年間最優秀選手に輝いたルイス・フィーゴ、フィオレンティーナにバティとの2トップでコパ・イタリア杯をもたらしたルイ・コスタといった世界的スタープレーヤーも輩出していた。
マヌエル・ルイ・コスタ?ポルトガルが生んだフィールドのマエストロ?

いつしか彼らの世代は黄金世代と呼ばれ、祖国ポルトガルにビッグタイトルをもたらすだろうと大きな期待を寄せられるようになる。
しかし現実は厳しく、ビッグタイトルはおろか、プロフットボーラーとして全盛期で迎えた94年、98年のワールドカップでは本大会へのチケットすら得る事はできなかった。黄金世代最後の挑戦と言われた02年日韓W杯では、よもやのグループ・リーグ敗退に終わる。

この大会後、スポーツ選手としての全盛期を終えた黄金世代は続々と代表を去る。

黄金世代と呼ばれ、ビッグタイトルを期待された彼等にチャンスが巡ってきたのは2004年欧州選手権だった。決勝まで勝ち残ったポルトガル代表は、奇しくも91年ワールドユースポルトガル大会の決勝、ブラジル戦と同じピッチでギリシャと戦った。自国開催で祖国へのビッグタイトルを目の前にして、ユース時代の思い出の場所で、彼等はまるで筋書き通りの悲劇を演じて敗れた。

しかし、黄金世代と言われた彼らの姿はもうそこには無かった。そう、ジョアン・ピント、パウロ・ソーザ、セルジオ・コンセイソン、フェルナンド・コウト等、黄金世代のメンバーは代表を去り、残ったのはルイ・コスタとルイス・フィーゴだけだった。ルイ・コスタが早々に代表引退宣言すると、黄金世代と言われたリスボンっ子達の輝かしくも悲哀に満ちた航海は終焉を迎えた。
世界のファンタジスタ〈3〉カーン・バティストゥータ・フィーゴ

たった一人、ルイス・フィーゴだけは新しい旅に出た。リカルド・カルバーリョ、デコ、ヌノ・ゴメス、マニシェ、C・ロナウド等、新世代の若者と共に。