IT Life hackさんにiPhoneアプリ開発の極意に迫る記事で「Talk Writer」の企画・設計の流れが紹介されました。
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今回は、英会話のディクテーションアプリ「TalkWrtiter」の企画や設計の流れから、iPhoneアプリ開発の極意に迫ってみよう。アプリ企画や開発に、正解は1つではないが、アプローチを通して企画や制作の参考にしていただきたい。■利用シーンからやめられない機能を見つけ出す
まずアプリ企画に大切なのは利用シーンを明確にすることである。
今回の「TalkWriter」を作成する動機は、アメリカ人のネイティブスピーカーである友人の会話が、何をしゃべっているかわからないときに、会話を読み解いてくれる道具が欲しいという欲求からだ。
必要な機能は、その場で翻訳でき、あとからも復習できる「単語帳機能」と、テキストとともに聞き返せる「議事録機能」で、この2つを実現できるアプリとすることだった。ここで気をつけたことは、1つのディクテーション機能で終わらせるのではなく、ちょっとだけプラスアルファの機能をつけたところだ。
●ちょい足し機能
iPhone アプリでは、1画面、1機能だけで完結したアプリも多くある。これはこれで、iPhoneらしいアプリではありが、アプリよってはやること直ぐに終わって飽きてしまうケースもある。長く使われているアプリをみると、違う機能がさりげなく用意されていることが多いのだ。
●ついつい使い続ける機能
もうひとつ気をつけたのは「継続性」だ。
このアプリは、その場で英語をしゃべる人との会話で使うことを想定しているわけだが、家に帰ってからも使えるようにするには、何が必要かを考えた。
そこで自ずと浮かんできたのが、「単語帳」と「議事録」だ。
「やめるにやめられない機能とは何か」
これを考えることで、さりげないけどいい機能が生まれるのではないだろうか。
ただし、単に機能を増やせということではない。必要な機能を見つけ出し、簡単な操作にシェイプアップすべきなのは上述の通りである。
●価値のあるアプリなのか
企画の最後にふりかえることは、企画したアプリは本当に価値があるのかということだ。
企画から開発者に制作を依頼するうえで、迷わず制作するアプリが作りたいと思えるか、否かとでは、作品の仕上がりも自ずと違ってくるからだ。
「TalkWriter」の場合は、ネイティブなアメリカ人と話す際に、どれだけ無駄な時間が省けるかというメリットと、アプリに投入するテクロジー「大語彙連続音声認識」と「グーグル翻訳による100カ国対応」により、制作する価値の裏付けを持たせた。
■設計
さて、次は設計の話にコマをすすめよう。
アプリの設計をするときに大切なことは、「画面イラスト」で開発者とコミュニケーションをとることである。
●リアルなイメージがコミュニュケーションを生み出す
原寸台のiPhone画面を用意して、実際の画面を作り込んでいくわけだが、このときに便利なのがiPhoneのスナップショット機能だ。
ほかのアプリで優れたユーザインタフェイスはスナップショットで取り込み、重要な部分だけを切り取って仮組していくのだ。いいアイコンなども同様だ。デザイナーに注文するときにもイメージを伝えやすくなる。
こうしてイメージを固めながらドラフトを仮組していくと、PDFで5ページぐらいの仕様書ができるというわけだ。
取り扱い説明書を追記していくように仕様を補うことで、実際の取り扱い説明書のドラフトにもなるのだ。
イラストで会話することで、企画、開発、デザインの各担当が初めて触ったユーザの気持ちのように意思を疎通できるようになる。
●タブビューが好まれる理由
ユーザインタフェイスでスマートフォンならではの設計は、タブビューという1階層目にいくつもの機能画面を並列に配置させるやり方だ。
iPhone ではデスクトップにアプリアイコンが散りばめられており、デスクトップ自体がポータルサイトのトップページのような機能を果たしている。なお、アプリアイコンが斬新であることはいうまでもない。また継続的に使ってもらうには、目立つアイコンでなければならない。
タブビューが好まれる理由は、単語帳画面で終わったら、次の起動は単語帳画面ではじまるというようなショートカットができるからであり、多くのアプリにも採用されている。
さらに多くのアプリに採用されているのが、「最低2階層ルール」だ。
ユーザは複雑な操作を嫌がる傾向が強く、ホームに戻りたがる。このため、階層はできるだけ浅い方が良く、1画面1機能を好む傾向がある。こうした理由からトップページなしのタブビューがよく使われているわけだ。
スマートフォンアプリは、カードという喩えがある。カードをパラパラとめくって、親指でポンと選択するからだ。
アプリをカードに見立てて、iPhoneにどのようなカードを用意しようかといった概念で設計するといいだろう。
●無駄を省くことの快適さ
最後に大切なのは、無駄な演出をそぐことだ。ユーザは忙しい時間を縫って、短時間でアプリを使っていると感じていることが多い。長い時間使っているようにみえても、のんびりと使っている感覚は持っていないものだ。
そうしたユーザに余計な時間を使って目を楽しませようと思っても、逆にサクサクとした快適さを妨げるものとして嫌気がさしてしまうからだ。
iPhoneアプリの開発は、メモリとの勝負であるところは否めない。マルチタスクをサポートするアンドロイドアプリでは、なおさらのことだ。
ユーザはあなたのアイデアを買いたいのであり、過剰な演出や不必要なサービスを求めてはいないのである。グラフィック重視のアプリ以外であれば、デフォルトで用意されているボタンやテンプレートを使って十分に良いアプリができるからである。
本質ではないところの勝負は控えるべきなのだ。
(2010年3月20日、IT Life hackより)
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関連する相澤謙一郎ブログ記事
<英会話をリアルタイムでディクテーションできる世界初のiPhone向けアプリケーション 「Talk Writer」を公開>
http://aizawa.livedoor.biz/archives/52253806.html
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今回は、英会話のディクテーションアプリ「TalkWrtiter」の企画や設計の流れから、iPhoneアプリ開発の極意に迫ってみよう。アプリ企画や開発に、正解は1つではないが、アプローチを通して企画や制作の参考にしていただきたい。■利用シーンからやめられない機能を見つけ出す
まずアプリ企画に大切なのは利用シーンを明確にすることである。
今回の「TalkWriter」を作成する動機は、アメリカ人のネイティブスピーカーである友人の会話が、何をしゃべっているかわからないときに、会話を読み解いてくれる道具が欲しいという欲求からだ。
必要な機能は、その場で翻訳でき、あとからも復習できる「単語帳機能」と、テキストとともに聞き返せる「議事録機能」で、この2つを実現できるアプリとすることだった。ここで気をつけたことは、1つのディクテーション機能で終わらせるのではなく、ちょっとだけプラスアルファの機能をつけたところだ。
●ちょい足し機能
iPhone アプリでは、1画面、1機能だけで完結したアプリも多くある。これはこれで、iPhoneらしいアプリではありが、アプリよってはやること直ぐに終わって飽きてしまうケースもある。長く使われているアプリをみると、違う機能がさりげなく用意されていることが多いのだ。
●ついつい使い続ける機能
もうひとつ気をつけたのは「継続性」だ。
このアプリは、その場で英語をしゃべる人との会話で使うことを想定しているわけだが、家に帰ってからも使えるようにするには、何が必要かを考えた。
そこで自ずと浮かんできたのが、「単語帳」と「議事録」だ。
「やめるにやめられない機能とは何か」
これを考えることで、さりげないけどいい機能が生まれるのではないだろうか。
ただし、単に機能を増やせということではない。必要な機能を見つけ出し、簡単な操作にシェイプアップすべきなのは上述の通りである。
●価値のあるアプリなのか
企画の最後にふりかえることは、企画したアプリは本当に価値があるのかということだ。
企画から開発者に制作を依頼するうえで、迷わず制作するアプリが作りたいと思えるか、否かとでは、作品の仕上がりも自ずと違ってくるからだ。
「TalkWriter」の場合は、ネイティブなアメリカ人と話す際に、どれだけ無駄な時間が省けるかというメリットと、アプリに投入するテクロジー「大語彙連続音声認識」と「グーグル翻訳による100カ国対応」により、制作する価値の裏付けを持たせた。
■設計
さて、次は設計の話にコマをすすめよう。
アプリの設計をするときに大切なことは、「画面イラスト」で開発者とコミュニケーションをとることである。
●リアルなイメージがコミュニュケーションを生み出す
原寸台のiPhone画面を用意して、実際の画面を作り込んでいくわけだが、このときに便利なのがiPhoneのスナップショット機能だ。
ほかのアプリで優れたユーザインタフェイスはスナップショットで取り込み、重要な部分だけを切り取って仮組していくのだ。いいアイコンなども同様だ。デザイナーに注文するときにもイメージを伝えやすくなる。
こうしてイメージを固めながらドラフトを仮組していくと、PDFで5ページぐらいの仕様書ができるというわけだ。
取り扱い説明書を追記していくように仕様を補うことで、実際の取り扱い説明書のドラフトにもなるのだ。
イラストで会話することで、企画、開発、デザインの各担当が初めて触ったユーザの気持ちのように意思を疎通できるようになる。
●タブビューが好まれる理由
ユーザインタフェイスでスマートフォンならではの設計は、タブビューという1階層目にいくつもの機能画面を並列に配置させるやり方だ。
iPhone ではデスクトップにアプリアイコンが散りばめられており、デスクトップ自体がポータルサイトのトップページのような機能を果たしている。なお、アプリアイコンが斬新であることはいうまでもない。また継続的に使ってもらうには、目立つアイコンでなければならない。
タブビューが好まれる理由は、単語帳画面で終わったら、次の起動は単語帳画面ではじまるというようなショートカットができるからであり、多くのアプリにも採用されている。
さらに多くのアプリに採用されているのが、「最低2階層ルール」だ。
ユーザは複雑な操作を嫌がる傾向が強く、ホームに戻りたがる。このため、階層はできるだけ浅い方が良く、1画面1機能を好む傾向がある。こうした理由からトップページなしのタブビューがよく使われているわけだ。
スマートフォンアプリは、カードという喩えがある。カードをパラパラとめくって、親指でポンと選択するからだ。
アプリをカードに見立てて、iPhoneにどのようなカードを用意しようかといった概念で設計するといいだろう。
●無駄を省くことの快適さ
最後に大切なのは、無駄な演出をそぐことだ。ユーザは忙しい時間を縫って、短時間でアプリを使っていると感じていることが多い。長い時間使っているようにみえても、のんびりと使っている感覚は持っていないものだ。
そうしたユーザに余計な時間を使って目を楽しませようと思っても、逆にサクサクとした快適さを妨げるものとして嫌気がさしてしまうからだ。
iPhoneアプリの開発は、メモリとの勝負であるところは否めない。マルチタスクをサポートするアンドロイドアプリでは、なおさらのことだ。
ユーザはあなたのアイデアを買いたいのであり、過剰な演出や不必要なサービスを求めてはいないのである。グラフィック重視のアプリ以外であれば、デフォルトで用意されているボタンやテンプレートを使って十分に良いアプリができるからである。
本質ではないところの勝負は控えるべきなのだ。
(2010年3月20日、IT Life hackより)
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